記念すべき練習初日。さっそく外に走りに出てみました。
走り始めるときのコツは、距離ではなくて時間で目標を決めることなのだそう。
どんなにゆっくりでもいいから長時間走れることが重要なのだとか。
ということで、まずは歩いてもいいから1時間足を前に動かすことを目標に出発!
まずは寮の寮の裏の道を走ります。
ゆっくり、ゆっくり。
10分ほどして、周りの風景が変わってきました。
ああ・・・、走りながら写真を撮ったらゆがんでる~。
西海岸は冬だというのに季節感がありません。
ずんずん進むと、、、あ!スタンフォードの池(というか沼地)だ!いままで地図でしか見たことがなかったけど、本当にあったんだ~。。。
しばらくこの周りを走ります。ぐるぐる。。。
もうだめだ、、、ここからはしばらく歩きで。。。
あ、ゴルフの打ちっぱなし。車がないと来れないと思ってた。。。
ここはどこ・・・?
ふう、、、ようやく標識が見えてきたぞ。
スタンフォードの正面玄関。・・・なのに、写真がゆがんでる。。。
ビジネススクール前。
ここから少し寄り道します。。。
これは学部1年生の寮のダイニングホール。
今学期、デザイン思考を勉強するため、
d.schoolのクラスをとっています。
今は学部1年生のダイニングホールでの肉の消費量を減らすデザインを考えるプロジェクトをやっています。
スタンフォードの学部1年生は全員、寮のMeal Planに強制加入させられます。このMeal Planが恐ろしくて、朝昼晩すべてがビュッフェスタイルで取り放題というもの。
このスタイルを変えずに、どう肉の消費量を減らすかがプロジェクトのテーマです。
・・・最終的には肉がテーマなのだけど、まずは、ユーザーがなにを本当に欲しているのか、その潜在ニーズを理解するためにEmpathyを行うのがデザイン思考の特徴です。
私のチームが、1週間の観察に続く観察の末に考えたPoint of Viewはこれ:
「Newly Independent Stanford freshmen need a blind trust and comfort
with the food at the dining halls because everything else surrounding
their life is unpredictable and fluctuating.」
(Point of Viewは「ターゲットユーザー」と「そのユーザーが欲しているもの(ニーズ)」と「その裏のインサイト」から成り立っています。この一文が、その後のデザインの根幹・拠り所となります。)
初めて親元を離れる1年生がダイニングに求めているのは、家にいた頃に得られていたような「なにも考えなくてもいい安心感・信頼感なのでは?」という視点です。
振り返って今のダイニングを見ると、毎日何十種類ものメニューから選ばなければならないし、食べてみるまで口に合うかもわからないし、夜の8時には締まるし、ストレスでいっぱいです。
「どんな味がするかわかってるから安心する」、夕食にシリアルを食べるユーザーや、「いつまた食べられるかわからないから。」とステーキを食べ過ぎてしまうユーザーが続出しているのが現状です。
ダイニングへの信頼も薄く、以前ダイニングホールが「Meatless Monday(月曜日はお肉なし)」を導入しようと試みたら、「お金をけちっているに違いない!」と非難轟々。すぐにプログラムが中止になってしまったこともあります。
そんなダイニングホールでお肉の消費量を減らすために、まずは学生との信頼関係を築くのが大事だろう、ということで、Facebookのフィードを真似て、「ご意見共有板」を作ってみました。
←こんな感じ。
字が汚くてもいいんです。プロトタイプですから。
Rapid Prototypingを繰り返すことによって、ユーザーフィードバックをもらいながらどんどん改良を重ねていくアプローチをとるのもデザイン思考の特徴です。
うーむ、、、「今日なにを食べたか」をシェアするボードは盛り上がらないなあ。。。やっぱり使い道がわからないんだろうなあ。
ダイニングのお気に入りメニューをシェアするスレッドも盛り上がりに欠ける。本当は、「1ヶ月に一度、投票で1番になったメニューが復活する!」というのがテストしたいアイディアなんだけれども、このプロトタイプでは伝わらない。
一方、ダイニングへの意見を募集する板は大人気!
「Like」ボタンを真似るため、気に入った意見には丸いシールを貼れるようにそばにおいておいたら、みんな即座に理解して使ってる!
おそるべし、Facebook効果。。。
なにが一番、「Like」ボタンを押されているかを見てみると、、、
え?!Granola?
これ?→
なんで?そんなにおいしい???
レーズンブランって、種類も指定?
そんでもってその下はシナモンクランチ?!
なになに?More Milk?えー、うそー。すんごい量が置いてあったけど?
ほかにもこんなフィードバックも:
そうか、、、よっぽど食べ物が並んでる順番が嫌だったんだね。
解説図をありがとう。
このボードを設置してみて一番驚いたのは、誰よりもボードを読んでいたのがダイニングのスタッフメンバーだったこと。考えてみれば当たり前なのだけど、一職員からマネージャーに至るまで、真剣にフィードバックを読み込んでいる。中には自分も書き込みをするスタッフも。
これまでもダイニングへフィードバックを出す仕組みはあった。オンラインでフィードバックフォームを記入するというもの。
これだと、たぶんこんなフローを通る:
フィードバックを書く(例:チョコレートミルクがほしい)
→管理部の担当者が受け取る
→スクリーニング
→十数ある寮のマネージャーが集まる会議にかけられる
→検討にかけられる(例:チョコレートミルクは生徒の健康に良いものかどうか。いやいや、かわいそうだから試験前だけ出してあげたら?コストはどうかな、見合うかな。云々云々)
→運がいいと採用される
これがこのボードだとこうなる
フィードバックを書く
→スタッフが読む
→直せるものは即直す。ほかはマネージャーと相談。
よく考えれば、食事へのフィードバックなんてささいなものが多いはず。「ねえ、味噌汁にスプーンはないんじゃない?」とか「今日の鶏肉はちょっとしょっぱかったね。」とか。
家では、ふと食卓でもらすと料理を作ってる人に声が届く。料理を作るお母さん(お父さん?)は、ブツブツ文句を言いながらも、実のところしっかりと聞いている。
そんな声はダイニングのいままでのフィードバックだと、たぶん絶対届かない。だって、「今日の鶏肉がしょっぱかった。」なんて、まずオンラインのフォームにわざわざ書く人がいないだろうし、書いても、私が受け取り手だったら、スクリーニングで落とす。だって、「今日の鶏肉」なんて今更同定できないし、わかったところでシェフに伝えるためにわざわざマネージャー会議にかけるのはおっくうだし、たかが生徒一人のフィードバックだし、、、この意見はそのまま埋もれていただろう。
これがボードに張られて、ほかの人が一斉にLikeシールを貼ったらどうなるか?その日の給仕スタッフはきっとすぐに気付くだろう。ダイニングでまかないご飯を食べるシェフもそのうち気付いてしまうだろう。そうしたらプンスカ怒るかもしれないけど、次の日からはさりげなく、味付けを変えるかも。うん、私だったら変えるな、きっと。
ふっとしたつぶやきがちゃんと声として届いてる。
当たり前の安心感。当たり前の信頼感。
このボード、もしかして革命的??
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はい、寄り道が過ぎました。
ここから家に戻ります。
元来た道をたどって、、、あ!寮が見えた!
ダイニングへの寄り道も含めて計1時間のランニング。
最後はほとんど歩いていたけど良しとしよう。
明日も引き続きがんばります!
(しつこいようですが、寄付は
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